西原理恵子・吾妻ひでお(協力・月乃光司)「実録! あるこーる白書」徳間書店

[ Amazon ] ISBN 978-4-19-863586-2, \1200

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 元,コミックリュウ編集長,大野修一は自身のサブカル人脈を使って気になる本を次々と世に送り出している。「サブカルスーパー鬱伝」や「日中韓お笑い不一致」・・・ああいかにも大野元編集長らしい本だなぁと,出るたびに買って読んで楽しんでいるのである。徳間書店の経営状態は知らねど,会社か編集長のどちらかがくたばるまで本を出し尽くしてほしい。

 その一連のサブカルシリーズの最新作が本書,西原理恵子と吾妻ひでおが自身のアルコール依存症(西原先生は旦那の方ね)体験を語りつくした一冊なのである。吾妻先生を引っ張り出してくるあたりは大野さんらしいが,超大物・西原先生とタッグを組ませたってのは凄い。自分も依存症だった月乃光司も仕切り役+依存症体験係として対談に混ざっているので,注釈や大野さんの解説文もあり,ちゃんとしたアルコール依存症入門書としても読めるようになっている。

 しかしまぁ,対談はおおむね西原先生ペース。さすが語り慣れているというか,場を盛り上げるための話術の巧みさは最高である。吾妻・西原の愛読者であるワシにとっては大体見知った話が多いのだが,断片的だった部分に染み込んでくるような事実も語られており,「もう聞き飽きた」と感じる方にも一読をお勧めしたい。

 改めてアルコール依存症って怖いな,と思うと同時に,健常者と言えど,大なり小なり何かに「依存」して生きている訳で,「底つき」をしないことには立ち直りは不可能,という事実を前に,反省させられることは山ほどあるなぁとシミジミしてしまったのである。